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ロボットとAI(人工知能)の現在と未来はどうなる?

今回はロボットやAI(人工知能)の現状をまとめるとともに、未来における可能性やリスクについてご説明します。客観的な情報を収集するだけではなく、実際にロボットやAIをビジネスやプライベートで少しずつ使うと身体で技術の進展を感じ取ることができるでしょう。

ロボットとAIの市場規模

2010年代の前半から、ロボットやAIについてネット記事やニュースなどで触れられる機会が増えたように感じている方もいるのではないでしょうか。実際、2018年にも防衛省がサイバー攻撃への防衛策としてAIを導入することが報じられています。

参考:防衛省、サイバー攻撃対処にAI導入 2021年度に運用開始へ

いわゆるバズワード(定義が曖昧でありながら、権威づけする専門用語や人目を引くキャッチフレーズとして、特定の時代や分野の人々の間で通用する言葉)となっているロボットやAIですが、客観的な市場規模はどうなっているのでしょうか。

2013年に経済産業省が発表した「ロボット産業市場動向調査結果」によると、産業用ロボットの世界市場は2012年までの5年間に約60%も上昇。製造分野や非製造分野を含めた足元の市場規模は、2010年段階で約8600億円と推計されています。今後の成長スピードも目覚ましく、2025年には約5.3兆円、2035年には約9.7兆円規模になると予測されています。特に、サービス分野の伸びが著しいと考えられています。

一方のAI市場規模については、調査会社であるIDC Japanが調査した国内コグニティブ/AIシステム市場予測が参考になります。IDC Japanは、2016年の国内コグニティブ/AIシステム市場規模は、ユーザー支出額ベースで約159億円になったと推定しています。ロボット市場と同様、今後の成長率は高いことが予測されています。2016年~2021年の年間平均成長率は73.6%、2021年の市場規模は2500億円を超えるということです。

ロボットもAIも、現在のところはそれほど大きな規模ではありません。しかし、今後の成長率には大いに期待できると予測されていることが分かります。自社のビジネスでどのように活用できるのか、どの業界でも念頭に置くべきフェーズにあると言えるでしょう。

実用化済のロボット:aibo、Pepper……

ロボットやAIというと、かつてはSFの中に限られた話でした。しかしながら、すでに部分的には実用化されたロボット、AIもあります。特に、一般消費者向けに実用化されたロボットとなると、aiboやPepperといったところが有名でしょう。

aiboは、1999年からSONYが発売しているペットロボットです。4足歩行で、イヌの動作を取り入れた動きが特徴であり、一部の愛好家には熱狂的に受け入れられています。初代型は25万円を超える値段がついていたにもかかわらず、1999年に発売が開始されてからわずか20分で限定3000台の受注が打ち切られるほどの人気でした。

その後、2004年にSONYはロボット事業からの撤退を表明し、aiboの製造も中止されたのですが、2016年には再度事業参入を発表します。新型のaiboには顔識別などのAI技術を導入。よりイヌに近いフォルムとなるなど、大幅な改良が施されています。そのお値段は、2018年1月段階では19万8000円(税抜)です。

一方のPepperは、SoftBankが2014年から販売しているロボットです。感情機能とクラウドAIを搭載しており、人とのコミュニケーションや周囲の状況に応じて感情を変化させる点が特徴となっています。コミュニケーションのバリエーションが増えていくため、子どもとの遊びや高齢者とのふれあいなどに活用されています。本体価格は19万8000円で、基本プラン14800円×36か月と保険パック9800円×36か月(いずれも税抜)が必須です。

aiboもPepperも、AIを搭載したロボットです。AIによって人間の表情やコミュニケーションを学習し、複雑な動きや会話が楽しめるようになっています。ビジネスのみならず、プライベートな場面でもロボットやAIの活用が進みつつあることが分かります。

AIが開くロボットの未来

aiboやPepperのように、ロボットにAIが搭載されることが当たり前になりつつあります。これによって実現される機能および活用方法として、ここではビジネスにおけるRPA、産業ロボット、そしてサービスロボットの3種類をご紹介しましょう。

RPAとは、Robotic Process Automationの略語です。データの入力やチェックなど、これまでホワイトカラー職が担ってきた業務を自動化してくれるソフトウェアロボットを主に指しています。たとえば、銀行における与信事務や資金回収の支援、資産運用サービスなどがあります。定型業務からRPAが普及し、将来的には非定型業務にも適用することが目標とされます。2017年11月に三井住友フィナンシャルグループが発表したところによると、RPAによって約200業務で自動化が進められ、40万時間もの業務量が削減されたということです。

次の産業ロボットは、主に製造業において製品の組み立てや運搬などを担うロボットのことです。こちらの歴史は古く、1954年にアメリカではじめて産業用ロボットの特許が出願されています。日本でも、高度経済成長期の1968年に産業用ロボットの国産化が開始され、1970年代には自動車やプラスチック、電子・電気機械などさまざまな業界でロボット導入が進められました。2018年段階では、最もロボット普及の進んだ分野と言えるでしょう。

最後のサービスロボットとは、レスキューや警備、家庭用などの各種サービス業で用いられるロボットのことです。aiboやPepperは、いずれもサービスロボットに分類されます。先ほどご紹介した「ロボット産業市場動向調査結果」でも、この分野の伸びが特に大きいと考えられます。2010年段階では産業用ロボットを下回る市場規模ですが、2035年には5兆円レベルにまで成長することが予想されています。

ロボットとAIが変える未来その1:人間の雇用は奪われるのか?

ロボットやAIが、一般消費者には身近でない製造業の向上だけではなく、オフィスにおける事務作業や各種サービス業、さらには家庭にまで入り込んでくるとなると、「人間のやることがなくなるのではないか」と考える人もいるでしょう。

実際、ロボットやAIがバズワード化する一方で「人間の雇用が奪われる」という批判的な議論も巻き起こっています。特に、オックスフォード大学の准教授であるマイケル・オズボーン氏が、カール・ベネディクト・フライ研究員と共著で2013年に発表した論文(THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?)は世界的な論争へ発展しました。

オズボーン氏は、今後10~20年程度のうちにアメリカの雇用者の約47%もの仕事が自動化される、と論じて話題を呼びました。特に、銀行の融資担当者やレジ係、会計の事務員など多くの仕事では、AIやコンピューターに置き換えられる可能性が90%以上であるとしています。

この論文は、ロボットやAI、コンピューターに対する人々の漠然とした不安を具体化したことで、インパクトを持って受け止められました。しかしその一方で、分析結果に対する疑問の声も少なくありません。独立行政法人の経済産業研究所(RIETI)によると、オズボーン氏の推計値は極端なもので、「技術的な可能性を示しただけ」だということです。たとえば、自動運転技術が実験室で開発されただけでも、世界中のすべての運転手が100%機械に置き換えられる、という前提を置いているようです。

このように、「AIに雇用が奪われる」という議論はショッキングではあるものの、ビジネスパーソンとしてはその実態を冷静に見極める必要があるでしょう。特に、技術の進展と実用化レベルを具体的に見ないと、ビジネスに与えるインパクトを見誤るリスクが生まれます。

ロボットとAIが変える未来その2:シンギュラリティには何が起きる?

ロボットやAIの未来に関連するキーワードとして、「シンギュラリティ」と呼ばれるものがあります。

シンギュラリティとは、AI研究の権威とされるレイ・カーツワイル氏が2005年に発表した著書で名付けた概念です。日本語では「技術的特異点」とされ、AIを作れるAIが生まれて理論的には無限に能力を高めたAIが登場し、人間と社会を根底から変化させることを指しています。

すでに将棋や囲碁などといった特定の知的分野において、AIが人間を凌駕していることがはっきりしつつあります。特定分野に限らず、汎用的に人間の知的能力を上回るAIが登場したとき、人間のあり方そのものが根底から問われることになるかもしれません。

シンギュラリティに起こる変化を予期することは容易ではありませんが、飢餓や貧困などといった社会問題の解決につながると肯定的に捉える論者がいる一方、ディストピア的未来を危惧する論者が多いのも確かです。

ロボットとAIが変える未来その3:著名人が警鐘を鳴らすディストピア的未来

ロボットやAIが発達することで、未来の人類が危機に瀕すると考える人は少なくありません。20世紀から、数々のSF小説や映画でディストピア的な未来が描かれてきました。たとえば、アーノルド・シュワルツェネッガーの代表作の一つ『ターミネーター』は、人類に反旗を翻した人工知能が、抵抗軍の指導者を抹殺するために過去の時代へ殺人アンドロイドを送りこむ、というストーリーでした。また、名作SFの一つ『2001年宇宙の旅』でも、HALと名付けられたAIが乗組員の生命維持装置を切り、死に追い込むシーンが描かれていました。人間を上回るAIやロボットが人類を滅ぼすのではないか……そうした不安は、常に人間につきまとっていたと言えるでしょう。

実際に人工知能が人間を超える時代を迎えつつある現代でも、多くの著名人がロボットとAIが完全に人間を凌駕した未来を危惧した発言をしています。たとえば、世界的な理論物理学者のスティーブ・ホーキング氏は、人工知能が人間を滅ぼしかねないと考えています。また、スペースXやテスラを率いるイーロン・マスク氏は、人工知能の開発を「悪魔の召喚」とたとえて強く批判しています。

シンギュラリティの定義やその到達時期など、AIをめぐる議論は賛否が入り乱れています。専門家でないと現在の技術の進展度合や可能性、課題を理解することも難しいため、インパクトのある極端な議論に引っ張られやすくなってしまうのも確かです。まずは冷静に、ビジネスやプライベートの限られた用途にロボットやAIがどう貢献できるのか、ビジネスパーソンとして考えながら情報収集するべきと言えるでしょう。

ロボットとAIが変える未来その4:人間とビジネスはどうあるべきか

ロボットやAIの可能性とリスクを踏まえて、ビジネスパーソンとしては以下の3点を意識する必要があるでしょう。

まず、最先端の技術について情報収集を行い、できる限り理解しようと努めることです。未来志向の議論になりやすく、ともすると具体的な技術についての理解がないまま極端な言説ばかりが一般に広まります。企業としては、極端な議論に流されず現実を見ていくことが重要です。

第2に、その可能性とビジネス上のリスクについても冷静に見積もることです。自社の事務の自動化や事業の代替可能性を冷徹に考えなければなりません。自社の属する業界でも、AIによる効率化の波は来ているかもしれません。AIの何が実現すれば、自社にとってリスクになるのか、早めに洗い出しておくと事業の転換も図りやすいでしょう。

最後に、小さなところからロボットやAIを自社のビジネスに取り入れられないか考えてみてください。情報を収集することも重要ですが、やはり実際に体験しないと可能性も限界も理解しにくいものです。

ロボット・AIと人間の共存は不可避

いつ、どれほどの度合で発展するかは分かりませんが、ロボットやAIが人間にとって身近になっていく可能性はあります。そうした未来が訪れたときを見据えて、少しずつ対応できるよう取り組みを進めることは必要でしょう。すぐに成果の出る話ではありませんから、いきなり大々的に利用するのではなく、ごく一部の業務から小さくトライアルを始めるとよいかもしれません。

菅原 まどか

株式会社パイプドビッツ 販売促進部

2016年10月、株式会社パイプドビッツに入社。
オウンドメディア「見テ知ル」を2017年4月に立ち上げる。2017年9月から「見テ知ル」運営を一人で行う。SPIRAL®をこよなく愛し、社内で利用するセミナー管理アプリや名刺登録アプリなどを自分で作成し運用まで行う。
ITに興味を持ってもらえるように、日々ITトレンド情報の収集中。

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