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SNSで市民とコンタクトを取るメリットとデメリットとは?

SNSで市民とカジュアルにつながれる

LINEやTwitter、FacebookなどといったSNSが一般化し、今や民間企業のみならず自治体・官公庁・財団などといった公共団体でもアカウントを持って情報発信や交流を行っています。

これまで、窓口や電話、郵便物などを通じて市民とコミュニケーションを図ってきた組織が多いのですが、インターネットの発達によってメールやSNSといったチャネルを設けることも時代の流れと言えるかもしれません。

SNSをコミュニケーションチャネルとして新たに設けることで、より気軽に市民がコンタクトを取れるようになります。特に、SNSを多用する傾向にある若者や育児で多忙な母親などの意見を吸い上げやすくなるのは大きなメリットです。

SNSは文字ベースで情報を打ち込むだけなので、窓口で担当者と顔を合わせたり、電話で話をしたりするよりも気軽に利用できます。「こんなこと聞いてもよいのだろうか」と思うような小さなことも問い合わせられますし、子どもや若者にとって身近なチャネルでもあります。

加えて、育児中の多忙な母親の意見も吸い上げやすくなります。多忙な母親は、場合によっては「子どもをあやしている最中にスマホを操作するわずかな時間」だけが息抜きの時間であることが少なくありません。SNSによってこうした母親の意見を吸い上げ、保育・教育・育児支援関連の政策に反映させることが考えられます。

ITスキルの格差と業務量増加のリスク

しかし、SNSで市民とコンタクトを取ることが無条件で「よいこと」なのかと言うと、必ずしもそうでもありません。SNSで市民とつながるリスクやデメリットについても理解する必要があります。

リスクやデメリットの代表的なものが、市民におけるITスキルの格差です。SNSといっても違いはありますが、総じて若者から働き盛りの年齢の人によく使われるツールと言えるでしょう。一方で、高齢者にとっては従来の対面、電話、郵便物(手紙)などのアナログなコミュニケーションチャネルの方が使いやすく、SNSを使いこなせない、まったく使っていない人も少なくありません。SNSを活用するのはよいのですが、従来の窓口・電話などを通じた対応を完全に取りやめることは難しいでしょう。

また、SNSの活用による業務量増加のリスクも懸念されます。救急車出動数増加の影に、軽症で119に連絡する人の多さが挙げられていますが、同じようにSNSで連絡がしやすくなることが原因でコール件数が大幅に増加する可能性があります。

先にbotやAIの活用を挙げましたが、「大したことない」と思われる要件で組織内のリソースが食いつぶされてしまうと、本当に救うべき市民、本当にコミュニケーションを取るべき市民に届かなくなってしまうかもしれません。業務量増加にいかに対応するか、がSNS活用の大きな課題です。

組織内の体制づくりとSNS活用

以上のメリットとデメリットを踏まえると、公共団体がSNSを活用して市民と効果的なコミュニケーションを取るためには、組織内の体制づくりが成否のカギを分けると言えます。特に、組織・人・ルールの3点を整備することは必要不可欠です。その先に、市民(特に若者や多忙な母親)の声を吸い上げて政策に生かしていく道が開かれるでしょう。

SNSによってコミュニケーションチャネルが増えるわけですが、SNSに明るくない市民の存在を踏まえると、従来の窓口・電話をなくすわけにはいきません。かといって、人員を増やすのも容易ではないのであれば、リソースの割り振りはそう簡単ではありません。組織トップのリーダーシップと調整能力が問われることになるでしょう。

また、職員のITスキル向上も必須です。あるいは、可能であれば外部から専門家を呼んで運用を任せる手もあるでしょう。アカウントを運用するスキルもさることながら、万が一国内外からITセキュリティ上の脅威にさらされたときでもびくともしないくらい、セキュリティ面で堅固な体制を構築する必要があります。

運用チームのルール作りも必要です。内部から登用するにしろ外部から招聘するにしろ、部門や組織の壁を超えて、ある程度柔軟に対応できるだけの権限と自由度を与えるべきでしょう。SNSで市民に対応するとなると、緊急性を帯びた要件の場合には即座に担当部署に連絡したり電話に切り替えたりと、臨機応変に動く必要があります。

市民の声を政策に反映させる双方向的なコミュニケーションを実現するためには、組織、人、そしてルールの3点を明確に整備することが重要です。そして、これらを正しい方向に導くためには、プロジェクトリーダーの牽引力が求められることもまた忘れてはなりません。

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