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リクルートのAI「A3RT」の使い方と活用方法とは?

今回はリクルートグループが2017年3月に公開したAIサービス用のAPI群「A3RT」をご紹介します。

AI(人工知能)や機械学習といった最新テクノロジーがどんどんビジネスにも取り入れられていく中で、関心は持っていてもテクノロジーのノウハウがない、あるいは予算を振り向けるだけの体力がない企業も少なくありません。

しかし、A3RTはAPIとして導入しやすく、簡単に「AI」の実力の一端をチェックできます。自社のWebサイトや社内システムへの応用も容易なので、既存システムの運営者であればA3RTの機能を使えるはずです。

この記事では、A3RTの各種APIの機能概要と応用可能性について説明します。また、2017年3月以降に追加された新APIや新機能についても触れています。

「A3RT(アート)」はリクルートで商用利用済のAPI群

A3RT(読みは「アート」)は、リクルートのグループ会社であるリクルートテクノロジーズが開発した各種サービスのAPI群です。2017年3月にグループ外へリリースされました。

「AIに興味はあるが関連サービスを開発するリソースはない」という企業や個人でも、A3RTのAPIを組み込むことで、文章の自動生成や画像判定などのAIサービスを利用できます。2017年11月末段階で、以下の8種類のAPIが公開されています。リクルートテクノロジーズによると、さらなるAPIが追加されていく予定です。こちらの詳細については、後ほどご説明します。

・Listing API
・Image Influence API
・Text Classification API
・Text Suggest API
・Proofreading API
・Talk API
・Image Generate API
・Image Search API

近年のリクルートは、AI(人工知能)の研究に力を入れています。2015年には、シリコンバレーにAI研究機関である「Recruit Institute of Technology(RIT)」を創設し、AI研究の世界的権威であるAlon Halevy氏をトップに据えました。AI分野をリードする世界的な企業に生まれ変わるべく、投資を続けているのです。

AI分野へ注力する一環として、A3RTの開発も位置づけることができるでしょう。AIや機械学習、ディープラーニングといった言葉がこの数年バズワードと化している中で、こうした技術を活用した施策へのニーズが高まったことから、リクルートグループ内向けにA3RTが開発されています。

A3RTは、すでに商用利用済の「リクルートお墨付きAPI」です。カーセンサー、ゼクシィ縁結び、ホットペッパービューティーなど、リクルートグループにおける名だたるサービスに利用されてきました。一般公開されるようなAPIやプラグインは、商用利用に堪えないケースも少なくないのですが、A3RTの場合はかなり完成度が高い印象です。簡単なサービスであれば、そのまま組み込むだけで作れてしまう可能性もあります。

リクルートテクノロジーズは、イノベーションの加速のためにA3RTをリリースしています。社内で秘密裏に進めるよりも、ノウハウを社外に開放する方が異業種・異分野とのコラボレーションやビジネスチャンスにつながると考えているようです。IBMやGoogleなども相次いでAI技術をAPI公開しており、リクルートもその流れに乗ったと見ることもできます。それでは、それぞれのAPIについて見ていきましょう。

APIその1:Listing APIでレコメンドリスト生成

いわゆる「リスト」を作成するためのAPIです。

たとえば、ECサイトでは購入した商品に基づいてレコメンドリストを表示しますが、こうしたレコメンドリストの作成にはもってこいのAPIと言えます。

また、ユーザーのWeb行動履歴を踏まえたターゲティングメールにも活用可能です。Web行動履歴から、メールを送信すべきリストを自動生成し、そのリスト内の顧客にメールを配信するという使い方が考えられます。

マーケティングの分野で広く使えそうなAPIです。

APIその2:Image Influence APIは画像の「お好み度」判定

画像の影響度=お好み度を判定するAPIです。

画像と、画像に対応する点数のデータを用意することで、未知の画像がどれぐらいユーザーに受け入れられるか点数で表示してくれます。

たとえば、レストランがホームページに掲載するお肉の画像選びで困っているときに、このAPIを使って判定させることができます。フォトジェニックで人々の食欲をかき立てる写真掲載は、飲食店にとってきわめて重要な訴求ポイントです。このAPIは、そうした事業者に広く利用されるポテンシャルを秘めています。

ただし、2017年11月30日現在では、お肉の画像にのみ対応しているようです。あらゆる画像に対応するのが望ましいのですが、今のところ機能的に制約があるため、利用の際は注意が必要でしょう。

APIその3:Text Classification APIで文章を自動分類

特定のカテゴリーに基づいて、文章や単語を自動分類してくれるAPIです。

デフォルトで用意されている学習データでは、単語を入力することで関連する職種に分類するようになっています。求人系サービスでの利用を想定したモデルといえます。ただし、ラベルとテキストを対にしたCSVファイルを用意して読み込ませれば、独自の文章分類モデルを作成することもできます。

たとえば、企業のチャットボットの品質向上に使えそうです。FAQを大量に読み込ませれば、ユーザーの質問内容に応じて精度の高い応答が期待できるでしょう。他にも、Webニュースのカテゴリー分けや情報整理にも応用できそうです。

APIその4:Text Suggest APIで文章自動生成

文章の自動生成や入力補助を行うAPIです。

たとえば、ATOKでも過去の文字入力内容に基づいて、与えられた文字の後に続く文字を候補として表示する機能を持っています。このAPIは、そうした候補表示機能をディープラーニングによってブラッシュアップすることを狙ったものです。2017年9月には、用意したデータセットをアップロードしてモデルを学習させる機能が追加されました。

決められた内容や入力内容に基づいて文章生成するので、質が高まればオウンドメディアの記事の作成やニュース原稿の作成などにも利用できそうです。

APIその5:Proofreading APIは「AI校正」

一言で言うと「AI校正」です。大量の日本語文章データを読み込ませると、正しい文章の構成や文法などを学習し、誤字脱字や不自然な文章を自動検知します。

デフォルトでは、求人系の文章をインプットデータとしています。自社の業界のニュース原稿やブログの記事などを読み込ませれば、自社専用の「AI校正」を導入することも夢ではありません。

なお、スパイラル®でもProofreading APIを活用してメール文面の校正チェックツールを作成しています。
参考:機械学習「A3RT」でメールの構成チェックツールを作成!

APIその6:Talk APIで対話自動化

入力した文章から応答分を自動生成するAPIです。

Webサイト上でユーザーの文章内容に応じ、自動的に応答分を生成して回答します。ユーザーとの会話経験を積むと、より自然な会話へ近づきます。

ユーザーとの会話を自動化できるので、チャットボットに組み込んでFAQの回答などを任せると工数や人件費の削減につながるでしょう。

APIその7:Image Generate APIで画像を自動生成

2017年7月に追加されたAPIです。Image Generate APIは、DCGAN(Deep Convolutional Generative Adversarial Networks)の技術を活用しています。DCGANとは、ディープラーニングを用いた画像生成などに利用される技術です。

Image Generate APIは、4500枚以上の画像を学習させたアルゴリズムから自動生成された画像を合成し、新しい画像を作成します。また、その画像を評価することで、次回以降の生成に反映させられます。

2017年11月30日現在では、ネイルのデザイン生成しかできません。日程は未定とされていますが、自由にデータをアップロードして学習させる機能を追加する予定です。

APIその8:Image Search APIで画像とテキストを相互検索

2017年7月に追加されたAPIです。マルチモーダルDeep Learning技術を活用し、画像とテキストの関係性を学習することで、相互検索を可能としています。テキストから画像を検索したり、画像からテキストを検索したりできます。

2017年11月30日現在では、専用のデータセット(画像)しか利用できません。画像素材サイトなどでの応用が期待されます。

社内業務へ応用する場合は「目的ドリブン」かつ「小さなところから」


A3RTは、リクルートグループ以外の企業や個人でも利用可能です。ただし、利用する場合は目的の明確化とスモールスタートを心がけるようにしましょう。

リクルート以外の企業や個人がA3RTを利用する場合は、それぞれのAPIの詳細ページにある「API KEY発行」のボタンをクリックしてください。メールアドレスを入力すると、そのアドレス宛にAPI KEYを含むメールが送信されます。これで、APIが利用可能です。

その後、テスト用に簡単な入力フォームやチェック用ページを作成し、APIを呼び出す形で使ってみましょう。具体的な方法は、以下のページを参照してください。
参考:機械学習「A3RT」でメールの構成チェックツールを作成!

A3RTの活用方法として考えやすいのは、人間が過去の経験から判断しやすい部分です。たとえば、文章の誤字脱字チェックにA3RTを利用してみると、結果の正誤をチェックしやすいでしょう。A3RTが適切に誤字や脱字を指摘しているか、人間の目から判断しやすいためです。画像の自動生成機能については、正しく生成できているか人間には判断できないので、最初に活用する業務分野としては不向きかもしれません。

また、A3RTを使う場合は少しずつ、目的を明確にしながら進めるのがよいでしょう。クライアントに提出する提案書の文章構成やターゲティングメールのリスト生成など、何かしら具体的な目的があると、A3RTの生産的な活用もしやすいものです。また、業務に差し障りのない部分から、テスト的にAPIを使ってみるのがおすすめです。

「何となく新しい技術だから使ってみる」では、効率的な活用はなかなか難しいかもしれません。あくまで課題を明確化し、部署やチーム内で目的を共有し、社外に影響を及ぼしにくい部分から少しずつ試すのが賢明です。

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