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ビッグデータの全体像とは?IoT・クラウド・AIとの関連性と事例まとめ

ビジネスの世界でしばしば聞かれる「ビッグデータ」について、何となく程度の知識しかない人は多いのではないでしょうか。また、IoTやクラウド、AIとの関連についてスラスラ説明できない人も多いことでしょう。

そんなビッグデータの全体像と活用事例について、その定義から活用事例、注意点を紹介します。ビジネスパーソンが知るべきビッグデータの基礎知識をおさらいしましょう。

そもそもビッグデータの定義とは?

ビッグデータには「たくさんのデータ」という意味合いがあります。しかし、いったい何が「たくさん」あるのでしょうか。

ビッグデータに関する定義はさまざまですが、なかでも「3V」という言葉がよく使われています。これは、high-volume(データ量の多さ)、high-velocity(データ処理速度の速さ)、high-variety(データ種類の多さ)の3つを指しています。質量ともに多く、処理される速度も段違いであるのが「ビッグデータ」なのです。

3Vの定義を最初に提示したのは、アメリカの権威ある調査会社のガートナーです。ビッグデータの定義として最も広く使われているのが、3Vであることは覚えておきましょう。単にデータ量が多いだけでは、ビッグデータの定義として不十分です。特に、質量ともに多くのデータを処理するためのプロセッサの存在が前提とされているのは示唆的です。データ以上に、それを分析して価値につなげることが重要となります。

ビッグデータにはどのようなメリットがあるのか?

ビッグデータには、データの収集・分析・活用の3つのプロセスにおいてそれぞれメリットが存在します。

まずデータの収集に際しては、効率化というメリットがあります。技術の進歩によって、プロセッサのデータ処理速度は飛躍的に向上しました。かの有名な「ムーアの法則」によると、集積回路におけるトランジスタ数が18か月ごとに1.5倍になるとされています。このように、処理できるデータ量が増えたことで、収集できるデータのキャパシティも増加しています。

データの分析に際しても、効率化がメリットとして考えられます。コンピューターの処理能力が向上したことはもちろん、機械学習の導入によって仮説の提示までも可能になりつつあります。大量のデータが宝の持ち腐れになることなく、客観的なデータに基づくアクションプランを作れるようになったのです。

データ活用においては、人間が思いつかないようなレベルの価値創出が期待できます。たとえば、後でご説明する資産運用の助言ロボットは、金融商品の価格推移や顧客の資産・リスク許容度などのデータを処理して、最善のポートフォリオを提案してくれます。いかに腕のよい証券マンだとしても、あらゆる金融商品のデータや顧客のデータを頭に入れて解析することは不可能でしょう。しかし、ビッグデータを活用する時代ではそれが可能となるわけです。

ビッグデータはIoT・クラウド・AIとどう関係するか


ビッグデータは、IoTやクラウド(クラウドコンピューティング)、AI(人工知能)といった言葉とともに言及されることが多いです。これらの言葉の関係を整理しておきましょう。

ビッグデータは、IoTやクラウドの発達で容易に収集できるようになり、AIの発達によって分析・活用されつつあります。IoTとは「Internet of Everything」の略語で、コンピューターや通信機器のみならず自動車や冷蔵庫などさまざまなモノがインターネットに接続し、情報をやり取りすることを指します。IoTは、モノがインターネットで接続された状態を指しています。たとえば、部屋に置いてある家電製品の稼働状況に関するデータが逐一集積され、インターネットを通じてクラウド上にあるサーバーへ送信・蓄積されます。IoTがなければ、分析や活用に足るデータを収集するのは難しかったでしょう。また、クラウドでなければデータを蓄積するサーバーを自宅に立てる必要が出てきてしまい、実用性が低かったはずです。

また、AIがなければデータの分析や活用は困難だったはずです。AIによって、24時間休むことなくデータを処理することもできます。それによって、人間の経験値だけでは導き出せないような斬新な仮説を生み出せます。

このように、IoT、クラウド、AIといったテクノロジーによって、ビッグデータは宝の山となりました。ユーザーのデータを少しでも多く集めることが、企業のイノベーションの成否を分ける鍵となっているのです。

ビッグデータの活用事例1:金融分野(フィンテック)

それでは、実際のビッグデータの活用事例を見ていきましょう。ビッグデータを活用して金融分野におけるイノベーションを目指す動きが目立っており、これらの動きを総称して「フィンテック(FinTech)」といいます。

総務省の発行している「情報通信白書」では、フィンテックを決済・送金、資産管理、融資・調達、ブロックチェーンの4類型に分類しています。決済・送金の代表例としては、個人のカード番号や口座番号を相手に知らせることなく送金できるPayPal、iPhoneで決済できるApple Payなどが挙げられます。資産管理の例としては、アルゴリズムを用いて資産運用アドバイスを行うTHEO(テオ)、個人向けの家計簿作成アプリであるマネーフォワードなどがあります。融資・調達の例は、READYFORをはじめとしたクラウドファンディングサービス、ソーシャルレンディングなどがあります。

ブロックチェーンは、金融取引の記録を暗号化し、分散的に処理・記録する技術です。ビットコインをはじめとした仮想通貨(暗号通貨)のベースとなる技術であり、2017年以降日本でも実証実験が進められています。

ビッグデータの活用事例2:自動車

自動車業界におけるビッグデータの活用事例として注目されるのは、テレマティクスと自動運転車です。

テレマティクス(Telematics)とは、自動車にスマホやカーナビを接続することで、渋滞情報や天気予報などの情報サービスを提供するシステムのことを指しています。GPSの利用だけではなく、自動車の運転状況から車両の位置や速度、通行実績、交通量などのデータを収集して、個々の自動車に個別化された情報を提供しようとしています。

テレマティクスの例としては、トヨタの「T-Connect」というナビシステムがあります。これは、音声で路面状況や渋滞情報などを伝えるサービス、ナビにぐるなびなどのアプリを追加できるサービス、ルート案内や緊急情報などを通知するサービスの3つで構成されています。いずれも、カーナビと連動して個々の自動車とデータをやり取りすることで、運転の安全や利便性を向上させる狙いがあります。

次に自動運転車とは、人間の運転者ではなくコンピューターが自動的に自動車を運転するものです。アメリカでは、大手IT会社や自動車メーカーが中心となって、自動運転車の開発やテスト走行が進められています。路面や天候、気温、渋滞などの情報を人工知能が集積し、自動的に車の運転を行う仕組みです。ただし、2018年段階で実用化には至っていません。技術的なハードルに加えて、事故を起こしたときの責任や自動運転車の走行可能な道路の範囲などに関する法律面のハードルがあります。

ビッグデータの活用事例3:ヘルスケア

ヘルスケア分野も、ビッグデータの活用によってブレイクスルーが期待される分野の一つです。現状の取り組みとしてDPC(Diagnosis Procedure Combination:診断群分類別包括評価)」や「NDB(National DataBase)」、今後普及が予測されるウェアラブルデバイス、また社会モデルとしてのヘルスケアデータチェーンが挙げられます。

DPCとNDBは、例外的に2018年段階で実用化されているビッグデータ活用事例です。DPCとは、医療機関が厚生労働省に対して匿名で医療費データを提出し、厚生労働省が集計・発表する仕組みです。身長、体重、病名や実施された治療内容などの詳細データが病院単位で蓄積されているため、個々の病院レベルや地域医療レベルの評価・改善につなげられると考えられています。また、DPCやレセプト情報を含めた医療データをNDBとして国が保存しています。

ウェアラブルデバイスとは、装着して利用するICT端末のことです。端末経由で体重や血圧、心拍数、消費カロリーなどといったデータを逐次集積し、活用します。健康管理やスポーツ、医療などの分野でデータの活用が期待されます。実際に神奈川県では、県民・企業・行政・医療・研究・介護の各分野が連携した「ヘルスケアICTシステム」の構築を掲げています。

ビッグデータの活用事例4:マーケティング

マーケティング業界でも、ビッグデータの活用によって個別化されたキャンペーンを実施する動きが進んでいます。

たとえば、Webサイトの訪問履歴やECサイトにおける購買履歴などのオンライン行動をオフラインの購買行動と結びつけることで、オンライン・オフラインを横断する「カスタマージャーニー分析」が実現しました。カスタマージャーニーとは、顧客が商品を認知し、関心を高めて購買に至るまでのプロセスを旅にたとえた言葉です。カスタマージャーニーを分析することで、顧客に適切なタイミングで適切なアプローチを取ることができるようになります。これも、マーケティングに活用できる顧客行動のビッグデータの分析が可能にしたことです。

マーケティングのテクノロジーの多くは、顧客のビッグデータを蓄積・分析するためのものです。その一つであるマーケティングオートメーション(MA)は、顧客の行動に得点をつけて(スコアリング)可視化し、適切なコミュニケーションが取れるようにしています。どの顧客が有望なのか、人間の経験則だけでは見えない部分まで浮き彫りにできるのがメリットです。

弊社のスパイラル®も、顧客のデータを軸にマーケティングや営業の生産性を向上させるプラットフォームです。マーケティングにおけるビッグデータ分析は、これからますます当然のものと見なされるようになっていくでしょう。

ビッグデータ活用に向けた注意点とは?


一つ目はセキュリティやプライバシーの問題です。個人情報を大量にデータベース管理することになるので、漏洩した場合の影響は甚大なものがあります。総務省の情報通信白書でも、安心・安全なデータ流通・利活用環境整備が必要であることを指摘しています。

次に、目標を最初に考える必要があります。ビッグデータの活用自体が目的化してしまうと、投資した割に成果を上げられない結果にもつながりかねません。実際にビッグデータ活用プロジェクトが始まる前に、社内で「何のためのビッグデータか」という問題意識を共有する必要があるでしょう。実際、総務省の調査でも「具体的な利用イメージが明確でない」「効果・メリットが明確でない」という声が多く上がっています。

最後に、データ収集方法を慎重に考える必要があります。新たなデータを収集するよりも、社内の既存データを活用できることがあるのです。社内の各部署が、過去のプロジェクトでさまざまなデータを収集・分析しているケースもあります。有用なデータが社内に眠っていないか、各部署と調整して調べることが必要です。

ビッグデータ解析に資格は必要か


ビッグデータ分析の専門家を「データサイエンティスト」と呼びます。データサイエンティストになるために、何か資格は必要でしょうか。

実は、データサイエンティストが取得すべき資格は特に存在しません。ノウハウを有して名乗りを上げてしまえば、今日からでもデータサイエンティストになることができます。

ただし、統計や情報科学など、幅広い知識が求められることは間違いないため、いくつかの資格試験の勉強を通じて、必要な知識を体系的に身につけるのが得策でしょう。たとえば、情報科学の基礎を学ぶには「基本情報技術者」や「応用情報技術者」が王道となります。

また、データサイエンティストには統計や数学の知識が求められます。統計知識の評価に使える「統計検定」、数学知識を身につけるための「アクチュアリー資格試験」を利用するのがよいでしょう。加えてデータサイエンティストとしての必要知識全体を評価するには、データサイエンティスト協会のVerified Certificate (Machine Learning)が挙げられます。

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