パイプドビッツの政治・選挙プラットフォーム「政治山」、第15回政治山調査「2014年東京都知事選挙に関する意識調査2」を発表
~ 支持政党別、年代別、職業別など、各候補者に投票した有権者を徹底分析 ~
政治・選挙プラットフォーム「政治山」を運営する株式会社パイプドビッツ(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:佐谷宣昭 証券コード3831、以下「パイプドビッツ」)は、東京都知事選挙(以下「都知事選」)投票日の2014年2月9日夜から2月11日にかけて、都知事選に投票した有権者を対象に都知事選に関する意識調査を実施し、1,105名から回答を得ました。2月14日に「政治山」にて、各候補者に投票した有権者像を分析したレポートを発表しましたので、お知らせいたします。
意識調査結果のグラフや図表、考察など、詳細なレポートを公開しておりますので、是非「政治山」の調査報告ページも併せてご覧ください。
今回の都知事選は、舛添氏が自民・公明から支持を、細川氏は無所属ながら民主党による勝手連的な支持を、宇都宮氏は社民・共産からの支持を、田母神氏は石原前東京都知事からの支持を得た戦いになりました。これら政党の支持が、有権者の支持政党ともリンクした結果となりました。
自民党支持者の投票先は、舛添氏(56.6%)と田母神氏(35.5%)が二分しており、公明党支持者の投票先は、舛添氏が約9割を独占しました。民主党支持者の投票先は、細川氏が6割以上だったものの固めきれなかったことがうかがえました。日本維新の会やみんなの党支持者の投票先は、ばらつきがみられ、社民党と日本共産党支持者の投票先は、宇都宮氏が多数を占めました。
これらの傾向は、政党の支持方針が有権者の投票先に反映したことを意味しており、無党派層が多いといわれている都知事選においても政党の影響力がいまだ大きいことがわかりました。
候補者別に得票構造における政党支持者の割合をみると、舛添氏、田母神氏は、半数弱の無党派層に加えて、4割前後を自民党支持者が占めました。宇都宮氏、細川氏は、無党派層の支持割合が6割強で同程度となりましたが、宇都宮氏には社民党と共産党からの強固な組織票が組み込まれていたことがわかりました。また、今回インターネット選挙を強く展開した家入氏の支持者は9割が無党派層だったことがわかりました。
より詳細に分析するために、自民党支持者と無党派層支持者の年代別投票先を集計すると、舛添氏と田母神氏は、自民党支持者が厚いという同様の傾向がみられたものの、同じ自民党支持者でも、舛添氏支持者は高齢世代、田母神氏支持者は若年世代の支持を集めていたことがわかりました。この支持者構造の違いは、今後の自民党内の政局動向にも影響を与える要素になるのではないでしょうか。
一方、大きなウエートを占めている無党派層においても、年代によって投票先に異なる傾向がみられました。細川氏は無党派層の中でも高齢世代に支持されており、田母神氏は大半が若年世代であることがわかりました。田母神氏の支持者が自民党と無党派層の若年世代に占められていたことが今回の都知事選の特徴ではないでしょうか。この特徴は、中長期的な自民党と無党派層の構造の変化を示しており、静かに地殻変動が起きつつあることがうかがえます。
職業別に投票先の割合をみると、舛添氏は、全職業から比較的高い得票を得ており、特に主婦層から厚く支持(46.3%)されていました。田母神氏は、経営者や会社員(事務系、技術系、その他)の約1/4の支持を得たものの他の職業からの支持は2割を切り舛添氏には及びませんでしたが、学生からは37.5%の支持を集め舛添氏29.2%を超えています。宇都宮氏は、全職業からまんべんなく票を得たものの舛添氏には及びませんでしたが、自由業からは28.6%の支持を集め舛添氏26.5%をわずかに上回りました。細川氏も、全職業からまんべんなく票を得たものの舛添氏には及びませんでしたが、会社員(事務系と技術系以外)からは31.7%の支持を集め舛添氏28.6%を上回り、自営業からは28.2%で舛添氏と同票獲得しています。
投票先の候補者ごとに、票を投じた有権者が重視したと挙げた政策を集計すると、舛添氏と宇都宮氏は、投票者から「少子高齢化」と「医療・福祉の充実」を他の候補者と比べて強く期待されていたことがわかりました。舛添氏と家入氏は「五輪の準備」に比較的強い期待がありました。宇都宮氏は、「雇用改善」に比較的強い期待がありました。田母神氏は、「地震・防災対策」の割合が比較的高く、同氏の経歴・主張が同氏に対する投票者に浸透していたことが読み取れます。
一方、宇都宮氏と細川氏を比較した場合、同じ脱原発を掲げた候補者であったとしても、投票者が期待する政策のウエートで細川氏が宇都宮氏よりもエネルギー政策・原発への考え方を期待する割合が高かったことがわかりました。
新知事に期待することは、最多が「地震・防災対策」36.2%、次いで「医療・福祉の改善」32.6%が2強で、「少子・高齢化対策」24.2%、「東京五輪の準備」22.5%と続きました。新知事として選ばれた舛添氏に期待されている政策の上位4位とほぼ一致しており、同氏に対する期待は都民全体からの期待とおおよそ同一の傾向があることから、シングルイシューよりも総合力で勝る同氏が政策的な期待面でも都知事選挙を有利に進めたことがわかりました。
都知事選で、インターネットを投票の参考にした有権者は37.9%にのぼり、インターネットが投票に対して一定の影響力も持つことが確認されました。
特に影響力のあるインターネットメディアは、ニュースサイト、政治・選挙情報サイトだとわかりました。投票先を問わず有権者の50%前後がニュースサイトを、30%前後が政治・選挙情報サイトを大いに参考にした・ある程度参考にしたと回答しました。
また、家入氏に投票した有権者がTwitterやFacebookなどのSNS利用率が高いことが特徴的でした。家入氏への投票が、インターネット上における不特定多数による投票ではなく、インターネット上で形成されている人的なネットワークによってもたらされたことがわかりました。
田母神氏への投票は、インターネット上の掲示板による情報共有からもたらされた傾向が他の候補者より相対的に強かったことと比較すると、同じインターネットを活用した支持獲得方法でも、家入氏と田母神氏には手法の違いが読み取れました。一方、家入氏の絶対的な得票数を考慮すると、インターネット上のネットワークからの得票を、同ネットワークの外側にどのように広めていくのかという課題があるのではないでしょうか。
今回の都知事選は、主要メディアの予想通り舛添氏の勝利となりました。その要因は、シングルイシューではなく、政策的な総合力において同氏が他の候補者を上回ったことによると推測されます。脱原発のシングルイシューで勝負した細川氏を同イシュー以外にも幅広い期待を集めた宇都宮氏が最終的な得票数で上回ったことからも、都民が、都知事に対して政策的な総合力を求めていることが読み取れます。
一方、今回の都知事選の特徴に、自民党支持者、無党派層、学生などの若者世代から田母神氏への相対的な投票の厚さ、家入氏のようにインターネット上のネットワークによって一定の得票を得る候補者が出現したことが挙げられます。両氏はともに今回の都知事選には敗れたものの、中長期的に見れば日本の選挙構造に明らかな地殻変動をもたらす要素を秘めていたといえるのではないでしょうか。
「政治山」の調査報告ページでは、意識調査結果の考察などの詳細なレポートに加えて、多数のグラフや図表、自由記述の回答詳細などを掲載しておりますので、是非併せてご覧ください。
事前調査 | 本調査 | |
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対象 | 東京都の20歳以上の男女 | 事前調査Q1において投票したと答えた方 |
回答者数 | n=2,246 | n=1,105 |
調査期間 | 2014年2月9日(日)~2月10日(月) | 2014年2月10日(月)~2月11日(火) |
設問内容 |
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調査手法 | 政治山リサーチ(インターネット調査) | |
実施機関 | 株式会社パイプドビッツ |
政治山は、情報資産プラットフォーム「スパイラル®」を中心とするクラウドサービスの豊富なノウハウを有するパイプドビッツが、全国の自治体や議会、政党や政治家の政策や行政の情報をストックし、官公庁、自治体、政党などがそれぞれ所有、管理する政治情報を一元化することで、有権者の政治参画の利便性の向上を目指して、2011年3月に誕生した政治情報や選挙情報のプラットフォームです。
今後も「政治山」が発信する情報が市民と政治の距離を縮め、地方自治や政治などへの関心や参加意欲を高めるきっかけとなることを目指した活動を展開してまいります。
なお、「政治山」は、「スパイラル®」を用いて開発、運用しております。
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