―SPIRAL導入前の課題を教えてください。
当社は半導体の製造や電子応用機器の開発を行うメーカーです。製品に含まれる化学物質の調査結果をまとめた環境書類をお客様向けに提供していますが、この環境書類の作成・管理に課題を抱えていました。当社で取り扱う環境書類とは、RoHS指令不使用証明書、ICP、chemSHERPAといったものです。これらをExcelで作成・管理していたため、非効率な業務が多数発生していました。
例えば、RoHS指令不使用証明書は、Excelで作成し、紙に出力した後、ハンコを押印してPDF化や郵送するという発行フローでした。RoHS指令不使用証明書は、同一製品であってもお客様ごとに発行する証明書のため、別のお客様から発行依頼をいただくたびに、証明書の社名部分と適合する製品品番を書き換え、紙出力、押印、郵送という単純作業を繰り返さなければなりませんでした。
ICPやchemSHERPAなどの環境書類は製品ごとに発行するものですが、当社には1,200を超える製品があるため、お客様からの調査・発行依頼がひっきりなしに寄せられます。どの製品のどの環境書類がすでに作成されたかを把握できるデータベースがなかったため、環境担当者は調査依頼を受けるたびに、社内文書管理システムや社内サーバー内のExcelファイルを検索し、該当書類が存在するかを調べる必要がありました。更に、ICPやchemSHERPAは顧客によっては年一回の最新化、加えてたびたび行われる環境規制の更新により、定期的に最新バージョンの書類を作成する必要があります。そのたびに、前回作成した書類を改めて製品品番を頼りに情報検索し、最新バージョンに更新して回答する、という作業を繰り返していたところ、該当する製品品番の書類がたくさん検出されるようになり、どれが最新のものなのか判別が難しい状況になりました。Excelのファイル名にある程度意味を持たせていたものの、その中身までは判別できないので、ファイルを開いて確認する必要があります。結果、Excelを開いては閉じるの繰り返し作業も増えていき、回答を繰り返す度に作業が増えてしまう悪循環となっていました。
このように、環境担当者が本来の調査業務ではなく、単純な事務作業や資料探しに忙殺されていたため、新規の環境書類作成については納期まで3カ月程度いただく必要がありました。かつては300件の調査依頼が滞留していたこともあり、早急な業務改善が必要でした。
―SPIRALの検討から導入までの経緯を教えてください。
SPIRAL導入のきっかけは、パイプドビッツがリリースした「RoHS指令適合証明書自動発行システム」の存在を知ったことです。証明書発行の申請をWebフォームから行える、電子印鑑によりハンコ押印が不要になる、その場ですぐに証明書をPDF発行できるなど、RoHS指令適合証明書に関する当社の課題が解決できると期待して、すぐに問い合わせをしました。
システムのベースになっているSPIRALについては、すべての仕事の基本である「インプット」と「アウトプット」をとてもシンプルに、かつ、柔軟性高く行える開発ツールという印象を持ちました。SPIRALがあれば、RoHS指令適合証明書だけでなく、その他の環境書類の作成・発行・管理も効率化できそうだとすぐにイメージすることができました。
―SPIRAL導入の決め手を教えてください。
データベースシステムやワークフローシステムなど他の製品も検討しましたが、一般的なシステムは特定の業務処理に用途が限定されてしまいます。一方、SPIRALは部品の組み合わせによってあらゆる用途のシステムを自分たちで構築できる柔軟性があり、その点を評価しました。
費用面についても、一般的なシステムは導入初期費用のほかに、年間メンテナンス費用やカスタマイズ費用などが発生します。SPIRALは保持するデータ量に対してのみ費用が発生する形で、そのデータ量もユーザー側で調整することができます。ほぼすべての面においてユーザーに選択権があるというビジネスモデルにも魅力を感じました。