―ストレスチェックを行った結果、どういったことがわかりましたか?
集団分析の機能を使った結果、全社員が抱えるストレスの数値は、全国平均よりは低かったのですが、部署別に見てみると、やはりストレスが高くなっている部署からは退職者が多いということが見えてきました。
また、部署に関係なく、自分の仕事に対してやりがいを感じていない人ほどストレスが高いということもわかりました。
―部署によってストレスの原因にちがいはありましたか?
全社的には、ストレスの原因は人間関係に関する悩みが多かったです。部署別では、工場で働く社員にとってのストレスは、一日中一人でもくもくと作業を続けていることで人と人とのコミュニケーションが少ないことが原因でした。
一方で、オフィス業務が中心となる社員が抱えるストレスの原因は、上司との人間関係にある場合が多いことがわかりました。
―ストレスの数値が高かった社員にはどのような解決策を考えましたか?
ストレスの数値が特に高い社員には、産業医からのカウンセリングを受けてもらい、早期にケアを行うことにしました。弊社の産業医は専門が精神科なので、ストレスケアには積極的です。
ただ、ストレスケアはプライベートな問題なので、あまり人に知られたくない人もいると思います。ストレスの数値が高かった社員に、カウンセリングを希望するかどうかを聞いても、なかなか実際の面談まで進むケースは少なかったのです。
そこで、社員がカウンセリングを受けやすいと思えるような工夫も行っています。たとえば、当初はメールでカウンセリングの受診を薦めても、実際にカウンセリングを受けるには直接総務に電話を掛けて時間や日程の調整を行う必要がありました。しかし、現在ではプライバシーに配慮して、パソコンから直接カウンセリングの予約ができるようにしました。
―他にも、カウンセリングを受けやすくする工夫を考えていますか?
弊社は日本全国に工場や事業所がありますが、産業医の先生は本社がある大阪にいるので、カウンセリングを受ける場合は必ず大阪に来ないといけません。そのため、仕事の都合がつかなかったり人目が気になったりして、カウンセリングが受けにくいということもあります。そこで、今後は電話やテレビ会議でもカウンセリングが受けられるような工夫をしていきたいと思っています。
他にも、社外で開催されるストレスケアに関するセミナーにも、積極的に参加してもらおうと考えています。これまでは、そういった研修は若手社員にしか実施していないのですが、年齢や役職ごとに研修や講習を受けた方がいいと感じています。