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わかりやすくまとめてみた!!犯収法、これからどうなる?【やまざき調べvol.6】

掲載日:2019年7月26日更新日:2024年3月6日

こんにちは!!入社1年目、金融お客さまリレーション部やまざきです。

前回のやまざき調べでWEB口座開設について調べた際、地銀担当のG先輩からこんな助言をいただきました。

「やまざき、犯収法のことほんまにわかっとる?わかってへんやろ!ちゃんと調べときや!」

口座開設など、金融機関の手続きでポイントとなる、本人確認方法に関する法律・・・くらいの認識でしたので、自信がないことが一瞬でばれてしまいました。

悔しかったので、犯収法だけではなく、オンライン完結できる本人確認方法のトレンドや、今後の予測についても、わかる範囲でまとめてみました!!

犯収法とは?

犯収法とは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」のことで、マネー・ローンダリングやテロ資金供与防止を目的として、特定の事業者が取引する際の本人確認等について定められている法律です。

法令の対象となる特定の事業者は、金融機関のほかにも、宝石・貴金属取扱事業者や、電話受付代行業者、弁護士など多岐に渡ります。

金融業界で本人確認が求められる主な取引

犯罪収益移転防止法第2条第2項より、金融業界では、以下の3つの特定事業者で犯収法が適用されます。

  1. 金融機関等(第1号から第37号までに掲げる者)
  2. ファイナンスリース事業者(第38号に掲げる者)
  3. クレジットカード事業者(第39号に掲げる者)

それぞれの特定事業者の本人確認が求められる取引は、主に以下のようなものがあります。

1)金融機関等
金融業務のうち、預貯金契約の締結、200 万円を超える大口現金取引など

2)ファイナンスリース事業者
ファイナンスリース業務(※途中解約できないもの、賃借人が賃貸物品の使用にともなう利益を享受し、かつ、費用を負担するものをいう)のうち、1回の賃貸料が 10 万円を超えるファイナンスリース契約の締結など

3)クレジットカード事業者
クレジットカード業務のうち、クレジットカード交付契約の締結など

平成30年11月30日公布の犯収法改正の概要

平成 30年に犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令が公布され、非対面での自然人の本人確認方法が下記の通り、大幅に変更されることになりました(法人の確認に関する事項は本稿では割愛します)。

  • 平成30年11月30日、オンライン完結の本人確認方法が追加
  • 令和2年4月1日、本人確認方法の一部厳格化 他

現在は、ちょうど犯収法改正の過渡期にありますね。

令和2年までの改正を踏まえ、犯収法で認められる来店不要型の本人確認方法を、私、やまざきなりに5つに分類してみました!

<来店不要型の本人確認方法5分類>

  1. 顧客が本人確認書類を送付し、事業者(金融機関)が取引関係文書等を転送不要郵便で送付する方法 ※令和2年に厳格化
  2. 顧客が電子証明書(電子署名、公的個人認証サービス)の情報を送信する方法
  3. ソフトウェアを使用し、顧客が画像やIC情報を送信する方法(eKYC) ※平成30年に追加
  4. 1と3の混合型 ※令和2年に追加
  5. 本人限定郵便で顧客に取引関係文書を送付し、郵便局員などが顧客の本人確認をする方法 ※令和2年に厳格化

まずは、平成30年の改正から詳しく説明させていただきます!

平成30年11月30日に施行された改正内容

平成30年に、eKYC(electronic Know Your Customer)と呼ばれる、オンライン上で完結する本人確認方法(分類③)が認められるようになりました。

そのため、最近は、eKYCサービスを導入し始めた金融機関のニュースを、よく見かけますね!

具体的には、下記のような方法が認められるようになりました。

出典:金融庁「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加

ニュースでよく見かけるeKYCのサービスは、「1.本人確認書類の画像+本人の容貌の画像送信」を採用しています。最近では、住信SBIネット銀行さんが対応されました。

「2.ICチップ情報+顧客の容貌の画像送信」は、免許証やマイナンバーカードなどのICチップ情報をスキャンし、その情報を送信する方法です。

ICチップ情報をスキャンするためには、専用機器「ICカードリーダライタ」か、スマホのリーダライタモードを使用します。しかし、現在、iOSではリーダライタモードに対応していないため、この方法は普及までにもう少し時間が掛かりそうですね。

「3.銀行等への照会」に関しては、最近、三菱UFJ銀行さんが本人確認サポートAPIサービスを開始されました。これから活用されるかどうか、注目ですね!

「4.顧客名義口座への少額振込」を採用している金融機関を、私、やまざきは、今のところ見たことがなく、普及するかどうかまだわかりません。

令和2年4月1日に施行される改正内容

令和2年の改正で、本人確認方法の一部が厳格化されますが、平成30年の改正を含め、先ほどの<来店不要型の本人確認方法5分類>が、それぞれ、どのように変更されているのか、その一部を表にまとめてみました。

※令和2年の改正に向けた、金融機関の対応方針の傾向などは、「緊急!どうする?!改正犯収法対策【やまざき調べvol.10】」でまとめています。ぜひこちらもご覧ください!

<来店不要型の本人確認方法5分類>

警察庁「平成30年改正犯罪収益移転防止法施行規則(平成30年11月30日公布)に関する資料」等をもとに作成

令和2年には、本人確認書類の送付(分類①)と、本人限定郵便(分類⑤)の方法が厳格化される他、新たな方法(分類④)が追加されます。

本人確認書類の送付(分類①)

非対面で取引し、顧客が本人確認書類やその写しを送付します。その後、事業者が本人確認書類に記載されている顧客の住居宛に取引関係文書等を転送不要郵便で送付する点は現在と同じですが、顧客が送付する本人確認書類が変更されます。

現在は、本人確認書類の原本、または写しのどちらかの送付が必要ですが、改正後は、以下の3種類のいずれかを送付する必要があります。

  1. 本人確認書類の原本
  2. 本人確認書類(現在の住居の記載のあるもの)2 部の写し
  3. 本人確認書類(現在の住居の記載のあるもの)の 写し、及び、納税証明書、社会保険料領収書、公共料金領収書等の補完書類(現在の住居の記載のあもの)又はその写し

本人限定郵便(分類⑤)

また、事業者が本人限定郵便で取引関係文書を送付し、郵便局の方が顧客の本人確認をする方法も厳格化されます。

現在は、健康保険証など、写真無しの本人確認書類の提示でも顧客は取引関係文書を受け取ることができますが、改正後は、運転免許証などの写真付きの本人確認書類を提示しなければ、取引関係文書の受け取りができなくなります。

新たな本人確認方法の追加(分類④)

さらに、新たな手段として、ソフトウェアと転送不要郵便を組み合わせた方法が認められるようになります。

顧客がソフトウェアを使用し、オンラインで本人確認書類の画像や運転免許証などに埋め込まれているIC情報などを送信し、事業者が転送不要郵便を送付することで本人確認を完了させる、下記2種類の方法です。

  1. 本人確認書類に組み込まれたICチップに記録された当該情報の送信を受ける方法
  2. 特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報の送信を受ける方法

まとめ

令和2年からは、一部の本人確認方法が厳しくなります。一利用者としては、口座開設時に提出する書類が増えるのは面倒なので、もっとオンライン完結の本人確認方法が広まってほしいなと感じました。

通帳レスやカードレスに対応でき、郵送費削減が見込める金融機関には、eKYCの導入が進むのではないでしょうか。

一方で、eKYCは導入・運用にあたりコストがかります。既存口座の本人確認業務が増加すれば、通帳やカードの送付が必要な金融機関にも浸透するかもしれませんね。

弊社でも、犯収法改正に対応した口座開設ソリューションをご用意しています。
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