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保険やローン申込みの書類提出が不要になる自己情報取得APIとは?!【やまざき調べvol.22】

掲載日:2020年11月25日更新日:2024年2月21日

こんにちは。金融カスタマーサクセス部山崎です。
2012年から続いていた安倍首相から約8年ぶりに首相交代がありました。日本経済新聞によれば、菅内閣は看板政策であるデジタル改革に向けて「デジタル庁」の基本方針を年内にまとめるよう関係閣僚に指示をしています。

日本中でデジタル化が加速してもっと便利に暮らせるようになったら嬉しいな!

さらに、同じニュース記事によると、「菅政権は行政のデジタル化を進める重要な手段」としてマイナンバーカードをあげています。「カード1枚で行政手続きが済む」ように検討しているそうです。諸届のWEB化を検討する金融機関も増えている中で、全国民に付与される予定のマイナンバーカードを手続きに活用しない手はありません。

金融業界での活用事例といえば、保険会社8社がマイナポータルと連携し、生命保険料控除証明書の電子交付を開始しています。確定申告や年末調整の際に、契約中の保険会社から必要な情報を簡単に取得・申請できるようになりました。

さらに、住宅ローンや保険の申込の際に行政機関などから必要情報を自動取得できる「自己情報取得API」というサービスがマイナポータルにあるそうです。

保険や住宅ローンの申込、住所変更などを行う際、必要書類を提出する手間がなくなればお客様も金融機関の担当者も負担を減らせそうなので調べてみました!!

自己情報取得APIとは?

自己情報取得APIとは、内閣府が提供しているマイナポータルのサービスの一つです。マイナンバーカードを使って本人確認を行い、行政機関等のデータベースにアクセスして世帯や税、保険、社会保障など申請者自身に関する情報を取得し、WEBフォームなどに反映できる仕組みです。

「自己情報取得API」
マイナポータルのサービスの一つに、「行政機関等が保有する自己情報(所得、世帯など)を確認できるサービス」があります。「自己情報取得 API」は、国民が自己情報の確認のみならず、提供まで行えるよう機能を拡充し、当該機能をシステム間連携によりWebサービス提供者が利用できるようマイナポータルの API の一つとして作成・公開するものです。

マイナポータル自己情報取得API利用ガイドライン」(2020年11月、内閣府 閲覧日:2020年11月11日)

「 自己情報取得 API で取得が可能な情報(自己情報)」は61種類以上。「世帯」に関する情報は31種類、「地方税」に関する情報は123種類に項目が分かれているため、全部で200種類以上のカテゴリの情報を正確に取得できます

自己情報取得APIで取得が可能な情報(自己情報)

マイナポータル自己情報取得API利用ガイドライン」(2020年11月、内閣府 閲覧日:2020年11月11日)より

申請者が自力で確認するにはちょっと面倒な情報も、マイナンバーカードがあれば簡単に取得できるのは助かる!

自己情報取得APIが始まる前からマイナポータル上で自己情報を取得することはできましたが、マイナポータルにログインして自己情報を確認(ダウンロード)し、その情報を使ってWEBフォームなどから申込手続きをする必要がありました。

このサービスを使うことで、WEBフォーム上に設置したボタンなどから情報を取得できるようになるため、ぐっと利便性を高めることができます

マイナポータル自己情報取得API利用ガイドライン」(2020年11月、内閣府 閲覧日:2020年11月11日)より

eKYCと公的個人認証と自己情報取得APIとの違いは?

あれ、自己情報取得APIはマイナンバーカードで本人確認をして情報を取得する…?公的個人認証とどう違うんだろう…?

犯収法の改正をきっかけに非対面の本人確認方法のパターンが増え、「eKYC」という単語はよく耳にするようになりました。マイナンバーカードを使った本人確認方法といえば「公的個人認証」というサービスもあります。これと自己情報取得APIは関係があるのか、混乱したので整理します!!

ズバリ、一言で違いを表すとこうなります。

  • eKYC=オンラインで完結する本人確認方法の総称(公的個人認証を含む)
  • 公的個人認証=マイナンバーカードを使って本人確認をするもの(情報は取得できない)
  • 自己情報取得API=マイナンバーカードを使って行政機関などから自己情報を取得するもの

ちなみに、どうしても公的個人認証と自己情報取得APIが類似して見えたので内閣府に聞いてみたところ、「自己情報取得APIで情報取得者の本人確認には公的個人認証を使っている」そうです。

公的個人認証を使っているなら、自己情報取得APIの利用が犯収法上申請者の本人確認行為とみなされないのかな?

と気になったのでこちらについても内閣府と金融庁に電話で聞いてみましたが、電話で明確に回答することは難しいそうです。そもそも自己情報取得APIは申請者等の本人確認のために作られたものではないため、具体的な仕様情報をもとに警察庁などへ確認をする必要があるとのことでした。

本人確認というよりも、業務効率化や利便性向上のために使われていくんだろうな。

自己情報取得APIは先ほど説明したので、eKYCと公的個人認証について簡単にご紹介します。

eKYCとは?

eKYCとは、「electronic Know Your Customer」の略称です。金融業界で実施される本人確認を「KYC」と呼びますが、それに「electronic」がつくことで、電子的に完結する本人確認方法全体を示しています。

eKYCの全体像を記事にまとめてみたら読みたい方いるかな…?

金融機関の審査手続きをどれくらい楽にできるのか

自己情報取得APIでどれくらいの業務が楽になるのでしょうか。

例えば住宅ローンの場合、審査に当たり所得証明書が必要となるため、お客様は役所で請求手続きを行う必要がありますが、自己情報取得APIを使うことで申込フォーム入力時にマイナンバーカードを使うだけで取得が可能です。

提出情報を間違える心配がないため、必要書類に関するお問い合わせや書類不備のご連絡の手間を削減できるのではないでしょうか。

マイナポータル自己情報取得API利用ガイドライン」(2020年11月、内閣府 閲覧日:2020年11月11日)より

総務省によると、2020年10月のマイナンバーカード交付率は20.5%なので、国土交通省が発表している民間住宅ローンの実態に関する調査報告書をもとにすると、メガバンクや信託銀行等は1行あたり年間2,904件、地銀は1行あたり年間777件、労金は1庫あたり年間1,155件の住宅ローン審査時の書類提出を不要にできる可能性があります

民間住宅ローンの実態に関する調査」(2019年3月、国土交通省 閲覧日:2020年11月13日)、「マイナンバーカード交付状況(令和2年10月1日現在)」(2020年10月、総務省 閲覧日:2020年11月13日)をもとに作成

自己情報取得APIを導入するには?

自己情報取得APIを導入するWEBサービス提供者は、内閣府の提示するセキュリティ要件を満たしている必要があります。要件を満たすサービス提供者は、マイナポータル運営主体である内閣府と打ち合わせや接続試験などのやり取りを行いながら導入の手続きを進めます。

プチやまざき調べvol.22-1
自己情報取得API利用開始までのスケジュール

マイナポータル自己情報取得API利用ガイドラインの中から、「利用開始までのスケジュール」をリストアップしてみました。

フェーズ1:利用検討
A-1 利用検討
A-2 疑問点の問い合わせ
A-3 問合せに対する回答
A-4 事前打合せの申込み
A-5 事前打合せの実施

フェーズ2:利用準備/開発
A-6 API仕様の開示申請
A-7 API仕様等の提供
A-8 システム開発の実施

フェーズ2:利用準備/接続試験
A-9 接続確認環境の利用申請
A-10 接続試験用資材等の提供等
A-11 試験の実施
A-12 試験完了の報告
A-13 接続試験完了報告の受領

フェーズ2:利用準備/本番準備
A-14 APIの利用申請
A-15 API利用申請の受付等
A-16 本番環境の利用申請
A-17 本番用資材等の提供等
A-18 本番環境における動作確認の実施

マイナポータル自己情報取得API利用ガイドライン」(2020年11月、内閣府 閲覧日:2020年11月11日)より

18ステップもある…

この18ステップすべてを金融機関の担当者が進めるのはなかなか骨の折れる作業ではないでしょうか。APIの仕様に関するやりとりは特に専門的な知識を持つ人材が必要です。せっかくなら、申込フォームや管理システムの開発と併せて利用開始の手続きまでお手伝いさせていただきたいところです。

「もう少し低いハードルでマイナンバーカードを活用したいな」という場合は、スパイラル本人確認サービスでお持ちのフォームに公的個人認証機能を追加いただくことも可能です。*1

自己情報取得APIについても公的個人認証も*1、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください!!

(*1 2022年9月1日補足:2022年8月31日を以てSPIRAL本人確認サービスは提供終了しております。)

※本記事の内容の信頼性、正確性、真実性、妥当性、適法性及び第三者の権利を侵害してないこと等について、当社は一切保証いたしません。また、本記事の利用によって発生したいかなる損害その他トラブルにおいても、当社に一切の責任はないものとさせていただきます。

参考文献

マイナポータルを活用した年末調整および所得税確定申告における生命保険料控除証明書の電子化について」(2020年9月、朝日生命保険相互会社、アフラック生命保険株式会社、住友生命保険相互会社、第一生命保険株式会社、大同生命保険株式会社、太陽生命保険株式会社、日本生命保険相互会社、明治安田生命保険相互会社、株式会社野村総合研究所 閲覧日:2020年11月12日)
デジタル庁創設へ基本方針 年内に、首相指示」(2020年9月23日、日本経済新聞 閲覧日:2020年11月5日)
マイナポータル自己情報取得API利用ガイドライン」(2020年11月、内閣府 閲覧日:2020年11月11日)より
保険会社8社、マイナポータル連携サービスの提供を開始」(2020年0月、調査機関 閲覧日:2020年11月12日)
マイナポータルで提供可能なAPI機能について」(2019年10月、内閣官房番号制度推進室、内閣府大臣官房番号制度担当室 閲覧日:2020年11月12日)
民間事業者におけるマイナンバーカードの活用」(2020年5月、総務省 閲覧日:2020年11月6日)
犯罪収益移転防止法の概要」(令和2年10月、警察庁 閲覧日:2020年11月6日)
公的個人認証サービスによる電子証明書」(総務省 閲覧日:2020年11月11日)
民間住宅ローンの実態に関する調査」(2019年3月、国土交通省 閲覧日:2020年11月13日)