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オムニチャネルの秘訣は「習うより慣れよ」?導入成功への最短距離

掲載日:2017年12月22日更新日:2024年2月21日

小売業のマーケティングにおいて、中核を担うであろう「オムニチャネル」。 オムニチャネル化の成否が競合他社に優位性をつけられるかどうかを左右するといっても過言ではないでしょう。

そもそもオムニチャネルとは何なのか、なぜ今、必要性が訴えられているのか。そしてオムニチャネル化を実現するにあたってどのような課題があり、どのように解決できるのか。

これらの話題を中心に、オムニチャネルの基礎知識を解説します。

オムニチャネルとは

オムニチャネルを理解する糸口として、「オムニチャネル Omni-Channel Retail*」という言葉の意味から解読しましょう。 *Omnichannel、 Retailingと記されることも

Omniすべての、あらゆる Channel販路、流通経路 Retail小売り

オムニチャネルとは、すべての販路を用いて小売りするしくみを指します。 あらゆる販路の違い、境い目を顧客に感じさせないシステムをつくることがオムニチャネル化のゴールです。

「あらゆる販路」を対象とはしていますが、焦点は実質、ネット(Eコマース、インターネット通販)とリアル(実店舗)の販路の境い目を取り払うことに絞られています。

かつてインターネットの普及によってネットショッピングが急激に隆盛したことで小売業のありかたは大きく変化しました。そして現在、小売業は再び大きな変革の過渡期にあり、その中心にあるのがオムニチャネルなのです。

なぜ今、オムニチャネル化が必要なのか

「なぜ今なのか」という理由はシンプルで、顧客の消費行動の変化、とくにスマートフォンの普及により情報収集、比較、購入、口コミ情報発信などの消費行動がオンラインに集中している時代背景にあります。

これは顧客の購買意欲を高め、消費行動を促してはいるものの、どうしてもネットショップ優位の構図を作り出し、リアル店舗との格差を広げる傾向があります。

一方、オムニチャネル化が急務とされている理由は、複雑で大きな問題です。問題点は大きく2つあります。

  • 販路が融合していないために、顧客価値が最大化されていない
  • 販路ごとの売上の競い合いが販売機会を損失し、全社売上を下げている

逆に言えば、「顧客価値を最大化し、販売機会を損なうことなく全社売上を増やすにはオムニチャネル化が必要不可欠だ」と考えられているのです。

■課題1:販路を融合できていない

ネットショッピング登場以前にもカタログ販売、広告、DMなど複数の販路は存在していました。たとえば「広告で見た商品を買うため、割引クーポンつきDM持参して店舗に足を運ぶ」といった複数販路の連携による顧客行動を促すマーケティングもありました。

ですが、これらは複数の販路を多角展開しながらそれぞれが並行している「マルチチャネル」に過ぎません。オムニチャネルが目指すのは、すべての販路を連携して顧客の購買を促すしくみなのです。

■課題2:店舗同士の売上競争、その結果の全社売上低下

オムニチャネル導入に成功していない、あるいは取り組んでいないほとんどの小売業では、いまだに店舗ごとの売上競争があり、またリアル店舗はネットショップを最大のライバルとみなしていることでしょう。

店舗が各自の売上を増やす努力がプラスにはたらく面はもちろんありますが、結局は店舗が顧客と売上を奪い合う構図であることは否めません。 オムニチャネル化は、この「自社内の各店舗が売上を競い、顧客を奪い合う」構図を終わらせるものです。

リアル店舗同士の売上競争は、ネットショップという最大のライバル店舗の出現によって激化しました。リアル店舗は店頭購入のみのポイントサービスやノベルティ配布の導入、ネットショップ価格より値下げする、といった施策で顧客と売上を取り戻そうとします。

結果として顧客はネットとリアル店舗でのサービスの違いに不満を抱き、囲い込み施策のはずの還元サービスを理由に離れてしまいます。また、価格の相違は値下げ合戦による利益率の低下を招きます。 主な問題点を整理しましょう。

  • ネットとリアルが価格競争した結果、価格設定が異なる。商品情報が煩雑化し、値下げ合戦を招く
  • 在庫のやりとりが行われず、サイズや色違い欠品により販売機会を逃す
  • ポイントサービスなどのファンづくり施策にネットとリアル間で互換性がなく、顧客囲い込みに失敗する
  • リアル店舗で商品を下見した顧客がネットで購入し、ネット優位が加速する

オムニチャネル導入は各販路の差を顧客に感じさせないシームレスな販売体制を実現することで、これらの問題を解決します。各販路も「自分の部門の売上を立てること」ではなく「全社の売上を上げること」を目指します。 ではオムニチャネル導入のため、具体的にはどのような施策が必要なのでしょうか。

オムニチャネル導入の手段、方法は?

商品情報、在庫管理の一元化

商品価格を販路ごとに変えることなく統一します。 また「ある商品の色、サイズごとの在庫数がどの店舗にどれだけあるのか」まで徹底した在庫情報を管理することで、どこかの販路での在庫切れには取り寄せや他販路での購入を顧客に提案し、販売機会損失をなくします。

顧客情報管理の一元化

リアルとネットでの顧客情報を一元化することで、顧客の嗜好や行動パターン、属性などにあわせた販売促進が可能になります。 リアル店舗での顧客行動も店舗販売員が入力することで、顧客情報の密度が高まります。

販売機会の増加

「持ち帰るのが面倒」と店頭商品の配送を好む顧客もいれば、ネットショップ購入が好きでも指定時間に在宅して宅配便を待つ制約を嫌う顧客もいます。

自宅配送、コンビニ受け取り、店舗受け取りなどあらゆる受け取り方法を可能にすることで顧客満足度は向上し、また来店時の「ついで買い」や他商品下見などの販促効果を期待できます。

メリットの多くに一元化、統一、管理の要素が頻出することからわかるように、あらゆる情報管理方法の刷新がオムニチャネル導入には不可欠です。

オムニチャネルの導入課題

  • 在庫情報、顧客情報、売上の管理システム刷新
  • 販路横断型のマーケティング部門の設立、もしくは各マーケティング部門の統合
  • 社の組織変更 ・販売担当スタッフの教育
  • 店舗、販売員、配送員への情報端末支給、POSの変更 ・販路の成績評価、人事評価基準の刷新

導入過程

  • 何をどの順でやるべきか、のロードマップを策定する
  • 計画に沿って組織改編やツール導入、備品支給を行なって社内体制を整える
  • 新たな体制、情報管理システムのもと業務をスタートする

オムニチャネル導入は難しい? 想定される障壁

オムニチャネル導入の課題は、コストこそかかりますが、得られるメリットを考えれば大きな問題ではないでしょう。金銭的なコストは販売員へのタブレット等端末の支給、リアル店舗のPOS変更といったハードウェアぐらいです。

そもそもオムニチャネル化はシステムの効率化と売上向上をめざすものですから、削減されるコスト、そして見込まれる売上向上によって長期的には必ずカバーできます。

どちらかといえば、社内の組織改編や社員・販売員への教育、そして意識改革が難題となるでしょう。 たとえばオムニチャネル導入後は、販路ごとの売上目標や評価制度は全社の売上目標、評価へと転換されます。

このとき、それまでノルマや売上額で評価していた店舗、販売員の成果をどう評価するのかが問題になります。とくにトップセールスを誇っていたリアル店舗や販売員は、オムニチャネル導入による評価制度の転換に「努力して獲得した売上が評価されなくなった」「結局は売上をネットに譲るという話ではないか」と不満を抱くかもしれません。

また、小売業は販路ごとに部署を分ける、いわゆる「縦割り」の組織編成が一般的ですが、これは販路が相互連携するオムニチャネルのビジネスモデルに適しているとは言いづらい構造です。

販路横断型のマーケティング部門を設立する、縦割り構造を刷新するといった組織改革には、オムニチャネルの知識と経験、そして強いリーダーシップをもった責任者が舵取りし、不満や疑問、反発に対して説得力ある解決策を提案することが必要です。

オムニチャネルという概念が何年も前から唱えられ続けているのは、これらの課題を解決できない、部分的にしか達成できていない企業が多いことのあらわれでもあります。オムニチャネル化は顧客価値を最大化する戦略であり、明らかにメリットだらけ、理想的なシステムへの転換であるにもかかわらず、です。

オムニチャネル導入実現のために、まずはシステム導入を!

組織の再構築、社員の意識改革といった課題はなかなか難しいものです。オムニチャネル化に成功しているのは比較的小規模なビジネスモデルの企業が多いことはその象徴といえるでしょう。大規模企業ほど、意識面での導入コストが大きいために、成功に至れずにいるのです。 結論として、「オムニチャネル化にはツールを導入して慣れさせることが近道だ」と言えます。

もともとオムニチャネル化が必要となったのは顧客の消費行動の変化、それもスマートフォンの普及という「ツールの浸透」がきっかけでした。

より賢い消費行動をとるようになった顧客に遅れをとった企業側がなんとか追いつこうとしているという構図です。 であれば、企業側もツールの浸透から販売行動を変革すればよいのです。

顧客の消費行動が進歩し、自然発生的にオムニチャネル化された販売システムを求めている現状に応じるためには、オムニチャネル化された販売システムをすぐに導入し、「習うより慣れよ」の姿勢で順応することで、システムだけでなく社員の意識にオムニチャネル化の浸透が実現できるでしょう。

オムニチャネル化のツールづくりは自社開発ではスピード不足であり、またコストの増大を一因になりかねません。小規模ビジネスならばコスト的に実質不可能でしょうから、まずはオムニチャネル導入ツールであるクラウドサービスを導入することで、顧客が求めるシステムを早期導入することが解決策となりえます。

また大規模ビジネスモデルであれば、トライアルとして特定の部署、たとえばブランドや商材種類で限定してオムニチャネル化のツールを導入し、スモールスタートを切ることから始めるとよいでしょう。

未完成のシステムを全身させるために、すでに完成されたツールを利用しない手はありません。オムニチャネル導入ツールを利用することから始めてノウハウを蓄積し、オムニチャネル化を推進できる人材を育てることが、低コストでオムニチャネル化を実現する解決策なのです。

5分で理解できる顧客との接点を増やすオムニチャネル

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