認知症による徘徊問題をITでフォローアップ 自治体のIT活用術

掲載日:
2017/06/21
更新日:
2019/05/10

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日本の認知症患者数は65歳以上の約1/5へ

周知の通り、日本は世界でも類を見ない超高齢社会を迎えています。なかでも急増しているのは高齢者の認知症患者です。

2014年時点の認知症患者は約500万人。その社会的費用は14.5兆円と、国民医療費全体のなんと約3分の1に及んでいます。

2025年にはその認知症患者が約700万人に増加し、65歳以上の約5人に1人に達するとの予測もあります。

認知症とは老化による物忘れとは異なり、なんらかの病気によって起こる症状や状態のことです。認知症のうち、およそ半数はアルツハイマー型認知症で、レビー小体型認知症、血管性認知症と続きます。これらは「三大認知症」と呼ばれており、全体の約85%を占めています。

認知症問題に対する自治体の取り組み

高齢者人口の急増によって社会問題化した認知症患者。自治体でも様々な取り組みが行なわれています。 そのひとつが、全国で展開されている「認知症サポーター制度」の取り組みです。

認知症サポーターとは、認知症について正しく理解し、患者やその家族をサポートする専門家のことです

この認知症サポーターになるには「認知症サポーター養成講座」を受講・修了する必要があります。 認知症サポーター養成講座は、特定非営利活動法人「地域ケア政策ネットワーク全国キャラバンメイト連絡協議会」が実施する「認知症サポーターキャラバン事業」で開催されます。

基本的には民間の制度ですが、今後は地域の高齢者に接する機会が多い民生委員、保健推進員、福祉委員などを中心に、認知症サポーターの増加が見込まれます。

たとえば宮崎県小林市では、人口約4万5000人に対して、2万5000人の認知症サポーター(2016年3月31日現在では9154人)の登録を目標に、認知症サポーターの育成に力を入れています。

認知症患者の徘徊対策にITを活用

近年、認知症患者にまつわる問題として「徘徊」がクローズアップされています。徘徊とは、認知症患者が外出したまま自宅に戻れずに行方不明となることです。

また、行方不明とまではいかなくても、外出中に日が暮れて、辺りが暗くなったころに通行人や警察官に保護された」というような事例も頻発しています。 このような認知症患者の徘徊に、ITを活用することで対応する自治体が増えています。

認知症患者が予定時間に帰宅しなければ、患者の携帯するGPS端末から位置情報を取得。家族が捜しに行けない場合でも、自治体が設立したセンターの職員が捜索に向かいます。

群馬県高崎市ではこうしたGPS端末の貸し出しや検索などをすべて無料で行なっています。24時間体制の「見守りセンター」に電話すれば、位置情報をメールでも送信。IT機器に不慣れな高齢者でも利用しやすい仕組みです。

また、兵庫県伊丹市では、阪神電気鉄道と共同で見守りサービス「まちなかミマモルメ」をスタート。長期間充電なしで使えるBluetoothを利用して、バッテリー切れを防いでいます。 そのほか、福岡県福岡市では数多くの市民や事業者(介護事業者や交通事業者、コンビニエンスストアなど)が認知症患者を支える「協力サポーター」として登録しています。

認知症患者が行方不明になったら、その情報を登録したサポーターにメールで一斉配信。それぞれが可能な範囲で捜索に協力することで、徘徊認知症患者の早期発見・早期保護につなげるという取り組みが行なわれています。

しかし、自治体はセキュリティ基準のハードルが高く、メールを一斉送信することが難しくなっています。そこで、福岡市ではセキュアなクラウドサービスを利用した一斉配信を実現。クラウド・データベースには画像も登録できるので、行方不明者の顔写真情報を公開することもできます。 様々な自治体で取り組みが始まっている認知症対策。今後、ITを活用した対策はさらに進んでいきそうです。

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