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業界コラム

マーケティングオートメーション導入時に必要となる部門間調整について

MA導入は複数部門が関わるプロジェクト

MAを主に利用するのはマーケティング部門になることが多いのですが、導入にたずさわるのは、経営層はもちろん営業部門、システム部門、経営企画や場合によっては総務・法務部門など複数の部門にわたります。

プラットフォームの導入や運用に関わるコストは、あくまでマーケティング施策の一環としてマーケティング部門が捻出することが多いと考えられます。施策のプランニングから実行、その後の効果測定まで、マーケターが主体となって動くことが多いでしょう。

その一方で、MAを導入するとなると、どのような基準で見込み客(リード)を営業部門に引き渡すかを決める必要がありますので、営業部門との調整は欠かせません。MAには「スコアリング」という機能があり、営業担当者にアラームメッセージを送ったり、別のSFAツールとデータの連携をとったりすることが可能です。

また、導入やその後の運用のためにはシステム担当者の力を借りることになるでしょうし、ましてやデータのセキュリティ管理についてはシステム部門とのタスク分担が必要となってくるでしょう。

総務・法務部門は、個人情報の管理をめぐる議論のために関わってきます。MAを導入すると、必然的にクラウドサービスで個人情報(氏名、会社名、メールアドレス、Webサイトの訪問履歴など、さまざまなデータが含まれます)を取り扱うことになります。情報流出のリスクを鑑みますと、センシティブにならざるを得ないところです。

経営層や経営企画は、MA導入全体の議論に関与することが多いと考えられます。MAを導入するインパクトは、マーケティング部門のみならず会社全体におよぶこともあるためです。

このように、MAを導入するためにはいくつもの部門の関与が求められます。単なるシステム・ツールの導入よりも、社内の部門間関係に与えるインパクトは大きいのです。

マーケティング部門による部門間調整が不可欠

複数の部門が関わる導入プロジェクトですから、部門間調整は必要不可欠です。その主体となるのは、MAを中心的に利用することになるマーケティング部門でしょう。

まず、MAを導入する目的の合意形成と共有が必要です。部門によっては、マーケティング戦略の課題解決にあまり関心を持たないことがあるためです。たとえば、営業部門はマーケティング戦略に課題があることは認識しつつ、その課題を解決することで自分たち営業にどのような利益があるのか、自発的には理解しないケースもあるのではないでしょうか。

部門間でMAの利用目的やメリットについての認識が共有されていないと、どういうことが起きるのでしょうか。一言で言うと、MAの形骸化です。明確なマーケティング戦略のもとにMAが構成されるのではなく、ただMAが導入前からやっていた「メール配信」「セミナーのフォーム作成」などの単なるツールとしてしか使われなくなる可能性が高いでしょう。

たとえば、MAのテクニカル面の運用をシステム部門が担当するとなった場合、システム部門は運用の容易さや厳密さ、システムに問題が発生した場合の依頼方法など、マーケティング戦略からは少し外れた部分にこだわる傾向があります。それがシステム担当としては当然のことだからです(何かトラブルが起きたときに、責任を負わされ「柔軟な対応」を迫られる苦渋を数多く経験しているものです)。

もちろん、システム部門のように各部門がめいめい重要であると思うことにリソースを割こう、割かせようとすることはある意味で当然のことです。議論から除外するべくもないでしょう。しかし、「本当に大事なことは何なのか」「MA導入で解決すべき課題、達成すべき目標は何なのか」が部門間で共有されていないと、利用目的やメリットは自ずと各部門のロジックの下に埋もれていってしまいます。最後には、コストをかけて導入したはずのMAの形骸化という哀しい結末が待っています。

MAを効果的に活用するためにも、マーケティング部門が部門間調整を行うことが不可欠となります。その際、仮に各部門の担当者が具体的な手続き論やタスクレベルの話にしか興味を示さないような態度を取っていたとしても、MAがどのような課題を解決するのが、目的を共有することを念頭に置きましょう。

トップダウンで動けるのは中小企業だけ?

しばしば、MAの導入が経営層からのトップダウンで決まることがあります。経営層から現場レベルへの意思の伝達と浸透がしっかり行われないと、「笛吹けども踊らず」といった状態でプロジェクトが動かないものです。

ただし、中小規模の企業ですと、経営者が強いリーダーシップでMA導入(どのツールにするか)を決め、具体的な導入要件や活用方法などのプランニングはマーケティング部門や営業、などに任せるというのがうまくいくこともあります。

MAのプラットフォームの多くはクラウドサービスであるため、オンプレミスでシステムを構築するのに比べれば短期間で導入できます。スピード感を持って課題に取り組みたい中小企業ですと、経営者のリーダーシップの強さがMA導入の成否を分けるカギとなることも多いと言えます。

ただし、一定以上の規模(各部門の独立性が強くなる程度の規模)になりますと、経営者のリーダーシップだけで導入を推し進めるのは難しくなります。その場合、経営者の代わりにマーケティング部門の責任者がプロジェクトマネージャーとなって旗を振り、各部門の調整に乗り出す必要があるでしょう。

スピーディーかつ効果的なMA導入のために

技術的に見ると、クラウドサービスである分、MAの導入にはそれほどの経済的・時間的リソースがかかるわけではありません。ただし、日本ではMAの活用がそれほど一般的ではないこともあって、企業内の合意形成に時間のかかるケースもあります。

その場合、MAの一部だけ、特定機能だけをまずは導入するという手もあります。たとえば、以前からメール配信を行っている企業の場合、メール配信に必要な顧客データのインポートとメール配信の準備、配信ロジック(ターゲット選定・時間帯選定など)の設定だけやっておけば、一般的なメール配信ツールより柔軟かつ多様なメール配信戦略が可能になります。

このように、社内的に効能が理解されやすい機能だけ導入し、効能を理解してもらってから本格的に導入する、という段階的なやり方もあります。とにかく、部門間で目的を認識し、共感してもらうことが、長い目で見るとMA活用の成否を分けることになるでしょう。

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