扶桑社初の海外ライセンス誌として2007年に創刊した『Numero TOKYO』(ヌメロ・トウキョウ)は、ハイファッションとアートを独自の視点で切り取る記事に定評がある月刊誌。同誌編集部で編集管理を担当する木下氏は「雑誌は情報を発信するとともに、ウェブを活用することで読者とコミュニケーションできるツールとなります。
Numero TOKYOはその典型で、ターゲットであるファンからとても強い支持を頂いています」と話す。
スパイラル®の利用用途は、メールマガジンと読者アンケートなど。最新の誌面情報やウェブ限定プレゼント情報などを届けるというメルマガでは「読者へ質問を投げかけると、当日のうちに返ってくる。ハガキでは出来ない、近いコミュニケーション。」と改めてネットの力を感じている。
雑誌ごとに1サイトずつウェブを保有する扶桑社だが、その中でもNumero TOKYOには「新しい雑誌なので、ウェブでも先進的な取組みをしていこうという空気があった」と話すのは、デジタル事業推進チームでマネージャーを務める梶原氏。読者パーティ等のイベント開催時は、メールやウェブでイベントを告知し、ウェブで応募を受け付けるスタイル。木下氏も「イベント告知をモニター読者に優先したり、読者からの声を広くウェブ上で受け付けたり、企画に応じてさまざまな方法を使い分けられるのがスパイラル®のメリットですね」と頷く。
梶原氏は最近の動向として、「プレゼント応募の受付フォームをセットにした、広告企画が増えています」と話す。これは、雑誌広告に興味を持った読者が、QRコードなどを通じてウェブフォームにアクセスし、応募できるようにしたタイアップ企画のこと。ネット広告ではよく見られる手法だが、雑誌でも広がりつつあり、広告クライアントの反響も上々のようだ。
最近では社内の営業部から「広告主に提案したいのだけど、ウェブでこんなこと出来る?」と相談されることも増え、雑誌広告の付加価値を高めた取り組みとして定着しつつあるという。
スパイラル®を活用したウェブコミュニケーションで、読者との距離をぐっと縮めたことで、広告媒体としての価値をも高めることに成功したNumero TOKYO。木下氏は「記事でも広告でも共通する事ですが、『読者限定』『モニター限定』といった特別感を提供し、積極的なアクションを数字で見て、雑誌作りに反映しています」と語る。今後について話を向けると「スパイラル®のマイエリア(会員専用ページ)をもっと活用していきたいし、ゆくゆくはSNSなども立ち上げ、読者と編集部、読者同士のコミュニケーションを深められたらいいですね」と展望を話してくれた。同誌のWeb戦略は、まだまだ発展の余地を残しているようだ。
(2009年05月25日掲載)